俳句

川上に激つ音あり山法師 みづうみの夕霧隠れ雁啼けり みづうみの夕霧隠れ蛇笏の忌 鬼城忌や光を放つ黒き海 澄み透る天の奥なり冬の山 雪嶺の奥つ空より澄みにける 駒草や雲の触れゆく石の影 群石に雲の触れつつお花畑 群石に雲触れながらお花畑 群石に触れゆ…

峰越や一足ごとに玉の汗 雲掴むごとき峰越汗ばめり 白雲の山より灘へ阿波踊 夕焼雲溪に大きく沈みけり 冬日向手の鳴る方へ吾子這へり 香に立てる山の息吹や山椒魚 香に立てる山の息吹や垣手入 香に立てる山の息吹や春田打 溪川の日向眩し青木の実 雪解や杉の…

草原の起伏ゆたかや糸蜻蛉 草原の起伏続きぬ糸蜻蛉 草原の起伏の続く糸蜻蛉 草原の続く起伏や糸蜻蛉 草原の起伏の続く天道虫 草原の起伏続きぬ天道虫 草原に牛の鈴の音椎咲けり 山間に草原続く日雀かな 林泉に落葉のたまる日の斑かな 林泉に日の照りながら落…

夜の色の深くなりゆく藤の雨 遠山に雲遊ぶごと宗祇の忌 高原に群れ来る馬や榛の花 春光や朝の渚に眼をつむり 南より海吹く風や夏料理 南より海吹く風や白絣 水色に暮るる港や若緑 水色に暮るる港や松の芯 むらさきに暮るる港や松の芯 初松籟空は余光を保ちつ…

白々と瀬を渡りくる山女かな

アカシアの樹の細り立つ冬の虹 アカシアの樹の立ち細る冬の虹 栃の樹を吹きとほる風五月来ぬ 栃の樹を風吹きとほる五月来ぬ 山間にひかり澄みつつ晩稲刈 山裾を風吹き上ぐる臭木の実 山裾に風吹き上ぐる式部の実 山裾を風吹き上ぐる一位の実 山裾の畑の蒼さ…

啼きのぼる朝鳥の声班雪山 遠なびく朱の旗ぐも夕雲雀 遠なびく朱の旗ぐも夕河鹿 遠なびく朱の旗ぐも夕燕 遠なびく朱の旗ぐも夕蛙 峰越や山川滾つ音幽か 滝音の幽かに峰を越えゆくも 耳底に滝音幽か峰を越ゆ 金色の砂湧き上ぐる泉かな 金色の砂湧き出づる泉か…

川底にひかり流るる鳥の恋 夏山の間よ り雲湧き立てり 野の川に光ながるる楢若葉 越えゆかむ夏嶺より雲湧き立てり 雲湧ける夏嶺の中を越えゆかむ 夕鳥の眠る木蔭や豊の秋 夕鳥の木蔭に眠る豊の秋 夕鳥の眠る木蔭や今年藁 夕鳥の眠る木蔭や秋収

秋の夜の餅の焼かるる香りかな 秋の夜の餅の焼けたる香りかな 秋の夜の餅の焼けゆく香りかな 噴煙の鋼のごとし寒蜆 噴煙の鋼のごとし鳰 山間に灯の揺れゐたる踊かな 窓を打つ雨の雫や暖房車 湖に日の没るや薄紅の雪しまき 早暁の花咲くごとき雪野かな 東雲に…

絹ずれの幽かに高し秋袷 白露の玉と流るる蓮の葉

椿の実

日光を息深く吸ふ菊日和 日光を息深く吸ふ野菊かな 日光を息深く吸ふ紫苑かな 日光を深く吸ひたり愛の羽根 鵯や息深く吸ふ日の光 菱採るや息深く吸ふ日の光 無花果や息深く吸ふ日の光 稲刈や息深く吸ふ日の光 色鳥や息深く吸ふ日の光 体育の日なり日光深く吸…

一山を日の分かちけり晩稲刈 一山を落暉の分かつ晩稲刈 草笛や褒むるより子を高く抱き ちゃんちゃんこ子を高く抱き頭を撫でつ 海よりの風待つ鷹の宿りかな 竹伐るや山より風を招き入れ 竹伐るや湖より風を招き入れ

絹糸のごとき水の香蓬摘む 水の香の移る衣や青き踏む 摘草の吾子に水の香仄かなり 摘草や水の香移る袖袂 曲水の水の香移る袖袂 白鳩の上羽のひかり五月来る 白鳩の上羽のひかり辛夷咲く 白鳩の上羽のひかり藤咲けり 白鳩の上羽のひかり桃咲けり 眠る子に乳の…

舞姫の額(ぬか)打ち初むる夕あられ 舞姫の頬打ち初むる夕あられ 舞姫のしろがねの櫛初あられ 舞姫の銀の花櫛初あられ さしかざす小傘や雪の降り初むる しろがねの舞の花櫛春惜む しろがねの舞の花櫛春深し しろがねの舞の花櫛初あられ

籠へ鳥呼ぶ子の声や藤の雨 子の声の籠へ鳥呼ぶ春の宵 ゆふぐれを籠へ鳥呼ぶ藤の雨 笹舟の流るる夏至の片明り

水に解く髪の長さよ夜の新樹 水に解く髪の長さよ花衣 水に解く髪の長さよ春の雲 海棠や雨を濡れ来る乙女たち みんなみに走る小川や馬肥ゆる 水浴びの乙女らの声晶子の忌 春の夜の闇の中くる風甘し 片腕に子のぶら下がる春の川

せせらぎに木の実の落つる光あり せせらぎの光聚めて木の実落つ 蕗の葉をつゆ流れ来ぬ露毀つ せせらぎに木の実落ちゆく光あり 絹ずれの微かに高し秋袷 青空に触るる音せり松手入 初夏の真ん中をゆく少女たち 初夏の中を駆けゆく少女たち

閉づる眼に光の粒や柿紅葉

おでん酒眼鏡外して突つ伏しぬ

案山子

案山子より外す眼鏡の玉を拭く 一身に太陽を着る案山子かな

新涼の筆を払ひぬ命名紙 新涼の筆払ひたり命名紙 新涼の墨の滴る命名紙 新涼の墨の跳ねたる命名紙

鶏頭の立ち乱れたる翳りかな 鶏頭に立ち乱れたる翳りあり 竹林の朝日帯びたり瑠璃鶲 瞑ればひかりの粒や柿紅葉

山焼の夜の天雲を焦がしけり 山焼の夜は天雲を焦がしけり 朝顔や抱く手あふるる子の笑顔 卒業や草に寝転びハーモニカ 緑蔭やうすきまぶたの少女たち 緑蔭や血潮明るき少女たち 緑蔭や子のまなぶたに血しほさす 緑蔭の子のまなぶたの血汐かな 船笛の谺の太し…

みづうみに三日月の影ミモザ咲く みづうみに三日月の影蜜柑咲く 勝独楽の止るがごとく廻りけり 綿菓子に笑顔ふくらむ盆の月 綿菓子に笑顔ほぐるる盆の月 火祭の夜雨のあとの匂ひかな 綿菓子に笑顔ほぐるる秋祭 早稲の香に夜も鳴り響く有磯海

昭和天皇

雑草という草はない

松茸

花圃

鶏頭の立ち乱れたり獺祭忌 鶏頭の立ち乱れたる光あり 鶏頭の立ち乱れたる重さあり 鶏頭の立ち乱れたる重さかな 鶏頭の立ち乱れたる光かな 葉鶏頭立ち乱れたる光あり 鶏頭に光聚まる重さあり 鶏頭の光聚まる重さかな 鶏頭に光聚まる重さかな 秋の蚊帳雨聴きな…

みづうみの凍りゆく音寒夕焼 湖の凍りゆく音夕蒼し 湖の凍りゆく音夕されり 湖の凍りゆく音夕焼雲 みづうみの凍りゆく音夕焼雲 炉に焚ける火の音のみや結氷湖 焚きくべる火の音のみや松葉酒 赤松に膠沁みいづる炎暑かな

銀漢をかくろふ丘の草明り 山影の波止場に伸ぶる鱸舟 山影の波止場に伸びぬ烏賊釣火 菜の花や岬を過ぎる帆掛船