冬 俳句歳時記 第五版 植物

冬紅葉

朱よりもはげしき黄あり冬紅葉 井沢正江

歩みゆく明るき方へ冬紅葉 岩田由美

木の葉

木の葉一枚水引っぱって流れをり 和田順子

落葉

湖底まで続く落葉の径のあり 齋藤梅子

朴落葉

下草に日は満ちゆきて朴落葉 須原和男

銀杏落葉

花の如く銀杏落葉を集め持ち 波多野爽波

冬木

つなぎやれば馬も冬木のしづけさに 大野林火

口笛のまっすぐに来る冬木立 坂本宮尾

名の木枯る

銀杏枯れ星座は鎖曳きにけり 大峯あきら

冬枯

枯れきつて育む命ありにけり 西宮舞

雪折

雪折れの竹生きてゐる香を放つ 加藤知世子

寒菊

冬菊となりて闇負ふ白さかな 五十﨑朗

水仙

水仙の束解くや花ふるへつつ 渡辺水巴

水仙に蒼き未明の来てゐたり 島谷征良

藪柑子

城山に海の日とどく藪柑子 棚山波朗

冬菜

冬菜畑よりもどりたる神父かな 岬雪夫

葱伏せてその夜大きな月の暈 廣瀬直人

麦の芽

麦の芽が光る厚雲割れて過ぐ 西東三鬼

枯葎

すぐそこにゐる子の見えぬ枯葎 岩田由美

枯蘆

枯葦の川わかれゆく波紋あり 齋藤夏風

枯萩

枯萩の白き骨もて火を創る 中村苑子

枯草

枯草を踏めばふはりと応へくる 加藤耕子

枯芝

枯芝に子供のものをあづかりぬ 山西雅子

石蕗の花

人住むを大地といへり石蕗の花 神尾久美子

冬菫

花街に抜け道ありぬ冬菫 蟇目良雨

喉元の釦の固し冬菫 山本菫

龍の玉

竜の玉旅鞄よりこぼれ出づ 山崎ひさを

生きものに眠るあはれや竜の玉 岡本眸