根岸善雄 『青渦』

夕波のしらじらとある単帯 根岸善雄

雪林の日より幽かに啄木鳥こだま 同上

雪嶺の月夜は離ればなれ峙つ 同上

過ぎてまた忌を待つおもひ梅二月 同上

そのあとを光が降れり竹落葉 同上

八朔の目覚め青渦ながれけり 同上

河豚食うてかすかに夜半の耳朶ほてる 同上

抱けば吾子茅花ながしを眩しめり 同上

裏山の闇緊りたる蚕飼冷 同上

まなうらの夕波明り髪洗ふ

遠花火吾子の横顔消えゆきぬ

虚子の忌の桜に夜空軋みけり

白藤の揺れては空を軋ませぬ

白藤のゆらぎに夜空軋みけり

枝垂桜しだれて夜空軋みけり

枝垂桜しだれて虚空軋みけり

枝垂桜しだるる虚空軋みけり

枝垂桜しだる碧空軋みけり

今朝の冬ネクタイ固く結びけり