種浸し

桐咲いて雲はひかりの中に入る 飯田龍太
合歓の花沖には紺の潮流る 沢木欣一
子の開く口に桑の実落としけり
桑の実の紅しずかなる高嶺かな 飯田龍太
ほてい草月の面を流れ過ぐ 福田田手汀
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曇る日は曇る隈もつダリヤかな 林原禾井戸
芍薬の逢瀬のごとき夜があり 森澄雄
白といふ厚さをもつて朴開く 富安風生
火を投げしごとくに雲や朴の花 野見山朱鳥
雲とんで朴の花より夜明けつつ 岡田日郎。
竹落葉時のひとひらづつ降れり 細見綾子。
しゅろさきて夕雲星をはるかにす飯田蛇笏。
篠の子のなめらかに日を流しをり きくちつねこ
針槐風とどまればにほひたつ 深谷雄大
声とほく水のくもれる杜若 桂信子
そのものの闇の中より杜若 斎藤玄
雨つぶの雲より落つる杜若 飴山實のふ。
えごの花散り敷く水に漕ぎ入りぬ 大橋越央子の
衣を脱ぎし闇のあなたにあやめ咲く 桂信子
花あやめ葉さきは飴のおくところ 室生とみ子の。
えご散るや咲くやしづかに山の音 渡辺桂子
花菖蒲ただしく水にうつりけり 久保田万太郎
菖蒲見しこころ漂ふばかりなり 藤田湘子