日のいまだ高き菖蒲湯沸きにけり 山崎ひさを

 ソーダ水つつく彼の名出るたびに 黛まどか

山雲のうつろひ遅し樫の花 

山雲のうつろひ遅し萩若葉 

鼻に水滴る牛を冷しけり  

 眠たさにうなじおとなし天瓜粉 水原秋櫻子

尻尾振りながら水牛冷さるる 

ホースより牛の額に水掛けぬ一こゑ啼きて尾を振りにける

子の指に置く弥次郎兵衛揺るる春

てのひらに微熱帯びけりてんと虫

てんと虫飛ぶや微熱を帯びたる手

微熱帯ぶ子の掌やてんと虫

摘草の子の掌に微熱あり

汐干狩子の掌に微熱あり

てんと虫子の掌に微熱あり

黄金虫子の掌に微熱あり

蟻の道子の掌に微熱あり

チューリップ子の掌に微熱あり

汗の子の額の髪をかきわけつ 中村汀女

菜殻火に闇新しくなりにけり

菜殻火に闇新たしくなりにけり

たかし忌の牡丹ならば勁く柔く