大野林火

月つつむ雲明るしや林火の忌

沖雲の月つつみけり林火の忌

潮の香に月つつむ雲林火の忌

林火忌の桟橋に擦る燐寸の火

風を得し萩高なれば林火の忌

林火忌の白萩は風得つつあり

七夕の子の前髪を切りそろふ 大野林火

五月来ぬ子の後髪切りそろえ

切りそろふ吾子の前髪五月来ぬ

初夏や切りそろへたる吾子の髪

五月来ぬ子の後ろ髪切りそろへ

五月来ぬ切りととのへる吾子の髪

初夏や切りそろふ子の後ろ髪

 吾子の頭の膝に載るなり籐寝椅子

膝に載る吾子の頭よ籐寝椅子

菊にさす夕日は卓を溢れけり 大野林火

白帆より夕日溢れつ林火の忌

子をつれて夜風のさやぐをがら買ふ 大野林火

子を連れて星の溢るる葡萄買ふ

子を連れて星美しき葡萄買ふ

子の手引き星粒溢る葡萄買ふ

子の手引き星粒満つる葡萄買ふ

子の手引き夜の香りの葡萄買ふ

子の手引き夕風いたる秋刀魚買ふ

子の手引き夕風つのる秋刀魚買ふ

夜の香に葡萄買ふなり子の手引く

ゆすらうめ電車ごっこの縄を結ふ

あやめ草電車ごつこの縄を持つ

麦の秋電車ごつこの縄を持つ

雲の峰電車ごつこの縄を持つ

嵐電車ごつこの縄を持つ

緑蔭や電車ごつこの縄結ぶ

膝に乗る吾子の頭よ風五月

春眠の吾子の頭の膝に乗る

籐寝椅子吾子の頭の膝に乗る