葦辺行く鴨の羽がひに霜降りて寒き夕(ゆふべ)は大和し思ほゆ 志貴皇子*1
夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものそ 大伴坂上郎女 *2
冬ごもり春の大野を焼く人は焼き足らねかも我が心焼く 作者不明 *3
武庫の浦の入江*4の渚鳥*5羽ぐくもる君を離れて恋に死ぬべし 作者不明 *6
海人娘子(おとめ)棚なし小船漕ぎ出(づ)らし旅の宿りに梶の音聞こゆ 笠金村 *7
山吹の立ちよそひたる山清水汲みに行かめど道の知らなく 高市皇子*8
挽歌。山に行くが死者に会いたい思い。当時の人にとって、山は異界。
やくもさす 出雲
みすずかる 信濃
こもりくの 初瀬(泊瀬)
かむかぜの 伊勢
たまかぎる 夕・ほのかに
ふゆごもり 春
とぶとりの 飛鳥
あづさゆみ 引く・張る
くさまくら 旅
しきしまの 大和
しろたへの 衣・袖
たまのをの 絶え・長し