「あめ」の字の暖簾透き来る灯の涼し

兼六園坂下アスファルト灼けて

兼六園坂下雪花舞ひ初めて

アスファルト灼けて加賀路のゆるぎなし

松籟の徽軫灯籠灼きて過ぐ

松影の徽軫灯籠灼くるなり

肌脱の撒く潮なれば弧を描きぬ

肌脱の撒く潮ならば弧を描かむ

岬端の残月高し避暑の宿

岬端に残月かかる避暑の宿

打ち寄する波に覚めたり避暑の宿

能登岩礁に干す荒布かな

搔き分けて鷗の泳ぐプールかな

子鷗の降り来るプールサイドかな

天一碧大鯵刺の閃けり

鯵刺の閃き水天を別つ

海鳴や鯵刺の閃き一縷

絶海や鯵刺の閃き一縷

海猫の沖見はるかす渚かな

能登や棚田見守る夏帽子

海女の子の眠る礁や花海桐

月明や断崖に散る花擬宝珠

月明の岸に寄る波夜の秋

月明のボート降り来る二人かな

朝凪や湾を出でゆく海人の舟

飛び石の島に続けり夏の月

炉塞や柄杓傾く古藍甕

藍甕や紫陽花供ふ法の城

能登時雨

向日葵や行く先決めぬ旅心

虹二重行く先決めぬ旅に出づ

凱風の頁を捲る曝書かな

あい吹くや法被跳ねたる能登キリコ