明日も生きてゐる感じ 中村國司 冬・新年

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抄録 

何もかも十一月の所為にする
花八つ手恋の噂のやつと立つ
神様を見せてもやれず七五三
寄金して洟を手で拭く七五三
田一枚空けて白鳥待ちういたる
角いくつ曲がりても塀花八つ手
ふんだしと杣のいふなる雪時雨
いろは坂いろのあたりの冬紅葉
!杭に立つ脚はくれなうい都鳥
初雪やケーキに砂糖降るやうに
手の甲を刺す雨となり三の酉
無数の目窓に映れる冬電車
橋は人渡しつづくる小晦日
!寺町は待てる静かさ大晦日
廻り道して枯野には立ち入らず
流されず流れにういたる冬の鯉
明暗の暗は青空冬の星
冬の虹泣いたら消えるかも知れぬ
塔の影崩すが日課冬の鯉
河豚刺を何枚はさむかと迷ふ
瑕ひとつ無くて被曝や朴落葉
嘘をつく口にはこべる寒の水
大鷹にぐいと傾く山河かな
補陀落は湖北に鴨は片隅に
応へぬが答へ炬燵の姉おとと
踏切に伏す我が冬の影法師
警官の声掛けてくる霜の夜
勤王か佐幕かいまは龍の玉
つまみだす沢庵漬といふ裸体
真つ直ぐに人は歩かず冬の浜
焚火の輪きつとやり直せるこの子
焚火して仲間不仲間一つの輪
!冬電車視線合はざる無数の目
!大白鳥波紋の芯にういて鳴かず
胎内を見たる心地や冬銀河
合併の名は匠町春隣
寒さうに考えてういるロダン
新年
よく眠り詩嚢満ちたる大旦
腕まくりして初日待つ若者よ
水音に近づいてゆく初詣
もうなにもわからぬ母の初笑
女とは静かに長き初湯かな
遺言と書いては丸め松の内