老年はやがて自分がここから立ち去る日が来るが、自分がこうしてうまれたことが、自分を含めてこの地上で生きている全てのものは苦しんだり愛したり結びあったり別れたりして一人一人の人間であったことが、言い様のない懐かしさで感じられる。
遠藤周作
旧正や街に餡饅分かち合ひ
かひつぶりくぐり*1雲仙普賢岳
春立つと生絹びかりの山上湖
雲仙に煙靡けりむつ五郎
雲仙に靡く煙やむつ五郎
初富士を縁取り曙光兆しけり
基督の踏まれし顔の泥拭ふ
旧正や提灯の影揺れ交はす
旧正や黄の提灯の眼鏡橋
おくんちや月明に龍鳴き出づる
黄昏の沖つ五島や周作忌
花ミモザ*2信ずるものの胸にあり