無罪 第1稿 クリスマス暫定版

胸迫る声の電話や寒昴*1

霜菊*2や家族の手より離されて

令状の印字滲めり多喜二の忌

涅槃雪依頼者店舗閉めにけり

霾や口閉ざしたる捜査官

少年の泣き崩れけり初桜

獄中の被疑者鼓舞せり揚雲雀

囚徒髪短く揃ふ受難節

亀鳴くや出獄の時期尋ねられ

抗告書仕上げ憲法記念の日

街角に聴き込みに立つ若葉風

封蝋の起訴状届く男梅

時の日やアリバイを訊く裁判所

六法に探す一節不死男の忌

黒百合や故なきことを責められて

監獄の鉄棒掴む指灼けり

法廷に塵一つなし白木槿

身に入むや囚衣の裾の黒釦

残菊*3や人を裁くも人ながら言ひ淀む答疑ふ鵙日和*4

冠雪の男体山に向かひ立つ

今朝冬の息吸ひて異議唱へけり

証人に言ひ逃れらる冷たさよ

烈日に求刑重し霜柱

無罪獲りけり侘助の一花愛づ

 

相談に応ふる辛夷月夜かな

聴き入りし懺悔ひとつや春霰

白木蓮や記者の駆け来る裁判所

春闘の労組といふも二三人

メーデーの旗紺青の天(天上の紺)突きぬ

契約書仕上げ憲法記念の日

時の日や尋問長き裁判所

荒梅雨や他人の遺書を預かりて

向日葵や

罪人に罵られたり菱の花

獄卒と労り合ふよ不死男の忌

少年の訴訟指揮待つ夏期講座

秋燕忌長子麻薬を止めざりき

遺言書く手の震へけり

訟廷日誌果つ

闇金の電話切りけり

検察の

*1:霜柱

*2:凍土,雪折、地吹雪

*3:十六夜、形代

*4:桐は実に