デヴィッド・フィンチャー ゴーン・ガール

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ゴーン・ガール (吹替版)

ゴーン・ガール (吹替版)

 

 

なんだかんだデヴィッド・フィンチャーの作品が好きだ。

セブンやドラゴンタトゥーの女など,世界観が好きなんだろう。

まぎれなくデヴィッド・フィンチャーの代表作となろう。
ミステリーから始まってスリラーへと進むのは素晴らしい発想だ。

 

世界観
 次に何が起こるか読めない展開を書かせたら,この監督は天才的だ。それぞれの思惑が交差し,悲劇を招くというのがスリラーの肝であり,これを描かせたらこの監督は素晴らしい。*1
 セブンは都市の閉じた展開であったが,郊外に世界を移動することで,アンフェイスフルのような,地方であるがゆえのストーリーを紡ぐ。また,セブンやドラゴンタトゥーの女のような,安易な聖書への依拠がなく,一皮むけた成熟した,人間同士のやり取りがみられる。キャラクターの演技が素晴らしく,現在の演技をするだけで,昔何があったか想像がつく。
テーマ
結婚の何たるかは,互いを愛し,憎みあい,支配し合おうとし,互いを苦しめ,それでも何を考えているのか,どう感じているのか想像していく点にある。そういう意味で,ラストをエイミーの帰還やシャワーで終わらせなかったのは,とてもよかった。そして,主人公がダークヒロインの支配下に置かれることが確定したラスト,さらに陰鬱でノイジーなタイトルロールまで一貫して作りこまれた映画の構造美を感じる。
ストーリー
前半は謎解きとして見事。後半は戦いが見事。デスノートを思わせる。第3幕というのか2時間を経過してからのチャプターからラストまでは余韻があってよい。
 しいてケチをつけるとすれば,FBIが最後,あれだけの矛盾を追わないのはおかしい。また,エイミーがお金を落としたり,金を奪われるつまらないミスをするのはキャラクターにあっていない。
 細かい描写もよい,冒頭の持って行き方,観客を魅入らせる。キャラクターの好感度を考えて動かすやり方は参考になる。警察の描き方は丁寧,手を抜かずしっかり捜査している。セブンの監督であることを考えれば当然か。小道具として心音,バーボン,そしてセックスシーンさえ結婚の退廃を示すに一役買っている。エイミーの語りによる各チャプターの導入。ワイドのショットで後ろの景観や父親を切り取るさまなど,キャリーのデパルマを思い出させるいい仕掛けだ。3幕の音楽。ときおりのコメディリリーフもいい感じだ。
キャラクター
エイミーのキャラクターからつくられた話だと思う。かなりのサイコパスだ。強く,美しく,狂っている。夫婦と警官,さらに妹のキャラクターが確立している。観客は妹に最も感情移入できる。

 全体として,かなり監督しても役者に任せられるところが多かったはずだ。一部は監督の思った以上のものが撮れているはず。なにより人物に深みがある。冒頭にも述べたが,それぞれの思惑がストーリーを生み出していく。この自然さが,悲劇を招くというのがスリラーの肝だ。

なお,DVDならではの監督による解説もおすすめ。

  

運命の女 unfaithful - 星のように 急がずに だが休まずに

 

 

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セブン [DVD]

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*1:すべて闇の中というミステリーに関しては,この監督をそこまで評価していない