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関東から1年間京都に行った男が心底美しいと感じた場所18

第1 総論

 1 京都在住の人間は,存外観光に行かない。東京に行って,歩いても寺社仏閣にあたらないことに驚くらしい*1。京都全体で2000の寺社仏閣があり,京都市内に多く集中している。

 2  一通り,メジャーどころを見て,さあ次,京都行ったらどこに行こう,と思っている人にとって,観光気分の抜けない,1年間で準メジャーどこ(京都中級クラス)を回ろうと思っていた男のおすすめはある程度参考になるのではないか。

 3 それでは2月を基準にスタート*2!なお,本当におすすめなところに絞らざるをえなかった。街中が観光地である。京都の懐は深い。

 

第2 冬

1.京都御苑[丸太町]

 御苑て,お前は俺をなめているのか!いやだな,なめてないですよ,承太郎君。レロレロレロレロ。

 

環境省_京都御苑

 怒らないでいただきたい。 雪の御苑はいいのだ。思わず足を止めて仕事をさぼる気すら起きる。仕事なんて実にくだらない。そう感じる。

 静けさが降る雪までも積もらせて,時はさかのぼる。平安の貴族も同じ景色を見たのだ*3と思うと感慨深いものがある。

 特に,椹木町の門から入るとよい。少し広すぎるのが御苑の難点だが,椹木町の部分は屋敷がいくつかあり,突き当りがすぐにあるため,こじんまりとしており,本当にこれが現世かと思わせる美しさである。

 

2.慈照寺銀閣(東山)

臨済宗相国寺派

 またまたベタな!本当に大したことがねーなと早くも底がしれつつあるブログだが,続けていこうっ笑

 初夏にしようか悩んだものの,冬も捨てがたく。6月は苔の美しさがたまらなく,雨上がりは独特の美しさがある。が,雪の積もったさまも趣深い。

 いわずとしれた世界遺産だが奥深い。中学生でおとずれた時はやはりわからないわびさびがある。足利義政すげーよ。 夢窓疎石西芳寺(いわゆる苔寺)の庭園を一段発展進化。庭園をいくつか見た後に見ると,良いところを引き継いだ情緒があることがわかる。一つの完成形。

 雪が降ると,銀世界の銀閣という,何とも不思議な字面になる笑 これが実に映える。私の中で銀閣東寺が雪の似合うツートップ。

 

第3 春*4

3 平安神宮 (岡崎)

 何をいまさら。言わずと知れた谷崎潤一郎細雪』でその紅枝垂桜の描写は尽きている。引用して終えよう。


 あの、神門を這入って大極殿を正面に見、西の廻廓から神苑に第一歩を踏み入れた所にある数株の紅枝垂、── 海外にまでその美を謳われていると云う名木の桜が、今年はどんな風であろうか、もうおそくはないであろうかと気を揉みながら、毎年廻廓の門をくぐる迄はあやしく胸をときめかすのであるが、今年も同じような思いで門をくぐった彼女達は、忽ち夕空にひろがっている紅の雲を仰ぎ見ると、皆が一様に、
「あー」
と、感歎の声を放った。この一瞬こそ、二日間の行事の頂点であり、この一瞬の喜びこそ、去年の春が暮れて以来一年に亘って待ちつづけていたものなのである

かの文豪をして「あー」

としか言わせない桜である。


Heian Jingu Shrine / 平安神宮

 

4 仁和寺(御室*5

世界遺産

世界遺産 総本山 仁和寺

丘から見る景色。近景に花の海。中景に常緑の松,遠景に五重塔。これに尽きる。

御室櫻の海の中からみる景色もよい。空が狭く深海にでも潜った気分になる。一条の光と遠くに見える緑や塔は,どこかはかなく,景色が波に揺れているかのような心持がする。その眩暈は永遠のものだ。 

徒然草の「仁和寺にある法師」という段を締める「先達はあらまほしきことなり」というフレーズに記憶がある方は挙手あれ。

高校の校内模試関係で読んだことがある方は,間違いなく私と同窓です。

 

5 原谷苑(原谷)

奥まったところにあるが,足を運ぶ価値がある。


原谷苑・青山荘・村岩農園公式ホームページ 京都 桜

桜だけではない。 結構な入場料を取られるが,一見の価値あり。色とりどりの花が所狭しと一度に咲きほこる。楽園。よりどりみどり,乙女の饗宴といったところか。情緒を求めるのはかえって野暮というもので,花の盛りというものと見に行くべし。

 

第4 夏

 1 初夏

  

 6 智積院(七条)

 真言宗智山派の総本山だ。成田山新勝寺・川崎薬師などを統べる。

 

真言宗智山派 総本山智積院

 長谷川等伯の櫻図,楓図,松秋草図はそれはそれで本当におすすめで,そのためだけに智積院を訪れる価値が十分にある。

 が,これよりもなお,利休好みといわれる山水の庭は筆舌に尽くしがたい。雪のときも捨てがたいが,生命力をかんじる初夏は格別だ。特に,さつきとつつじ。足を伸ばせば池についてしまうだろう縁台から少し下がって,畳の上でゆっくり枕草子を読み,つがいの鳥が追いかけあうのを見守る。至福であった。These are the few of my favorite things.一瞬が永久に感じる瞬間である。

 

7  長岡天満宮 (長岡京)

 ここのキリシマツツジは必見。

 

長岡天満宮 ホームページ

 作庭は八条宮。非凡。その天才を思わずたたえる。桂離宮もこの人。修学院離宮を造成した後水尾天皇は甥。

 桂離宮の作りこんだ感じもよいが*6,炎よりも赤く燃え立つ霧島躑躅は,目に焼き付いて離れない。

 

8.大徳寺高桐院(紫明)

  

京都観光Navi:

 1601年,細川忠興創建。

 大徳寺は,臨済宗大徳寺派総本山。応仁の乱で荒廃したが,一休禅師の寄進で復興。広大な土地をしめ,西に今宮神社,南に船岡山大徳寺派は割とオーソドックスな学問的な布教をする。名高い唐門は千利休が像を置いて,秀吉に切腹を命じられる原因となっている。

 その塔頭である高桐院。実にお薦めである。 

 入り口をくぐると,初夏の「そうだ京都,行こう」に使われた苔と若葉の緑の道が迎えてくれる。これを見るだけでも行く価値がある。本当に。 

 本堂は梅雨滂沱のさなかに行くことを薦める。誰もいない中,赤の絨毯と滴る雨の音と,グラデーションのある緑。1日居ても飽きない。本でも読みながらゆっくり過ごすのが最高の贅沢である。

 私は多少とも心に落ち着かないことがあるとよくいっていた。教えたくなかったが,もう行けることもそうないから,ここでそっと告知。

 

9 南禅寺天授庵(蹴上)

 南禅寺は山門*7や水路橋,琵琶湖インクラインを見て満足する勿れ。湯豆腐だけ食せばいいなどもってのほか。ここは必見だ。 

紅葉の時期もいいが,人が多すぎる。若葉の時期にいくと,人が少なくてよい。

「そうだ京都,行こう」に使われた写真の場所には入ることができないが,枯山水の庭。そこを抜けて廻覧できる池。狭く短いが,絵になるところが多い。やはり落ち着きたいときに一人で行きたいところ。

京都観光Navi:

 何もしなくていいというのは幸せであり,心休まる場所というのは何にも代えがたい。それがある人にはカフェだったり,ある人には庭だったりするのだろう。

 

10 常寂光寺(嵐山) 

常寂光寺

百人一首で有名な小倉山にある。

 

紅葉の名所としてもかなり名の知れた場所であるが,それゆえその時期は人が多い。

楓若葉をみに,初夏に訪れたい。

この時期は人が少なく,写生をしている人さえ見られる。

 

おすすめは仁王門。特にここを斜めから見下ろす角度は,苔緑,浅緑,浅葱,萌葱,鶸萌黄。緑のグラデーションの鮮やかさに思わず目を奪われる。

 

2 盛夏

11祇園会・曳き初め(京都市街)

 何をいまさら祇園祭だ。日本三大祭りの一つ。

 本来は八坂さんのお祭りなのだが,それ以上に,鉾の巡行がメインとなっている。

 その前日の宵山は三条から五条くらいまでの京都市街地は夜間歩行者天国となり,大賑わいとなる。鉾の下で粽を購入して,鉾に入れてもらうのが通常。

 長刀鉾は,唯一,稚児を載せるとともに,祭りの先陣を切るので目立つ。

衹園祭 | 京都市観光協会

 7月に入ってからの京都は,何かと祇園祭関係で騒々しい。

その中でも,稚児が位をもらいに八坂神社に白馬で向かうならわしや,一般人でも鉾を曳ける曳き初めは,認知度が低く,狙いどころだ。

 

12 川床(貴船)

 

貴船の夏 川床 | 京都観光情報 KYOTOdesign

京の奥座敷。

5度は違う。川床となれば体感で10度違う。とにかく涼しい。避暑。

せせらぎを聞きながら,川の上にはりだした畳でゆっくり親しい人と,あゆなどの懐石をいただけるという趣向だ。

鴨川にも床がはられて風情がある。しかし,あくまで市内の喧噪のなかでの静穏というレベルだ。

貴船川の床は,そもそもが静寂の中にあり,玉の浮かぶ川に足をつけられる近さだ。一生このままであればいいのにと思ってしまう贅沢。

 

第5 秋

13  保津川下り(嵐山)

ようこそ保津川下りホームページへ(保津川遊船企業組合)

べったべた。だが,多くの人がいいというものには理由がある。

カップル向けであることは否めないが。

まずは,トロッコ列車笑でトロッコ亀岡まで行き,バスで乗り場へ。

 

ラフティングのように,でぃずにーのアトラクションのように,水を受けつつ,川を下っていく。水はすぐそこだ。しかも紅葉が川に浮いているなど,えもいわれない。

 

14 瑠璃光院(八瀬)


八瀬 瑠璃光院公式サイト

ここだけは,モミジの時期に。若葉の時期では微妙なのだ。

なぜって,苔が照り映えた瑠璃色もさることながら,その赤・黄の瑠璃色。二階の額縁から外を見るとかくも美しい絵があるものかと驚嘆するだろう。

  

14 毘沙門堂[山科]

毘沙門堂トップページ|毘沙門堂

そう,そう。落紅葉。その敷紅葉で作られる朝の参道は気高い。 

 カメラを構えている人が多いので,それなりに考えて行動しよう。

 

 

15  厭離庵(嵐山)

 

京都観光Navi:

京都の秋の紅葉はどこも素晴らしいので,どうしても秋に行かなければならないところ,という基準で秋は絞っている。

その一つはここだ。14同様,敷紅葉の隠れた名所。

 敷きつめられた赤はいのちの終わりの燃え上がり。

 

第6番外編

16京都府立植物園(北山)

京都府立植物園/京都府ホームページ

 五月の薔薇を。Roses in May.

 月下美人が見れたのは幸いだった。

 地球上のあらゆる植物がみられる。何気に水車がいい味を出していて好きだ。

 

17京都国際マンガミュージアム烏丸御池


京都国際マンガミュージアム - えむえむ

クールジャパン。京都の外国人率は高い。

ここから,漫画の良さを知らしめようというわけ。

2005年以前の漫画ならかなり希少なものも含めて見つかる可能性が高い。

 

 18お茶屋(祇園

遊びなれたお金を持った人と。大石倉之助のおかげで一力茶屋が有名。

 

以上

 

 

*1:東京の寺社仏閣は全国平均ではかなり多い

*2:記事は3月だが2月に下書きをはじめたため

*3:正確には平安時代の内裏はかなり西。現在の丸太町千本西入ル

*4:桜に偏ったが,しだれ梅の城南宮や藤の名所も捨てがたい.桜なら松ヶ崎疎水は知る人ぞ知る名所。

*5:オムロンはここから

*6:たとえば飛び石で歩きにくくし,数歩歩いて目を上げると,全然違う景色が見えるという趣向など。世の庭師の聖地という。

*7:石川五右衛門が「絶景かな」という歌舞伎は著名だ