「ありきたりな女」と「セックス」

「女性は、全てを奪われちゃう瞬間が来る」

 ――9曲目の「ありきたりな女」は、何か大きな「別離」が描かれているように感じました。どんな思いでつくられたのでしょうか。

 これは……ごめんなさい。男性に説明する機会があることをまったく想定していなかったのですが、女の人に独特のものだと思うんですよね。

 女性は行動するより前にこうしよう、と考えることがあまりない生き物なんじゃないかと思うんです。先に手が出るというか、体で感じて体で動くっていう。で、精神や頭脳がそこに連動しやすい。男性はそれが乖離しやすくて、それぞれの苦労があるのでしょうが。

 女性はやっぱり、おいしそうなものにクンクンって吸い寄せられて、それで満腹になったら飽きて、別の方に行って。そういう風に生きていくものだと思うんです。夢中になる対象があって、「カッコイイ!」とか「おいしい!」とか「カワイイ!」とか。

 だけどある時、全部それを奪われちゃうような瞬間が来るんですよね。気分に従っているだけで良かったのが、まったくうまくいかなくなる。

 たとえば、大人になって大好きな人ができて、今まで男の子とチョメチョメしてきたのがリハーサルだったのかと思うぐらい、「私はこの人のために、経験や知識やこれから学ぶこと全部を捧げなければいけない。捧げるべきなんだ」って心に決める。すごく本能的に感じるんですよね。

 それは多分、その人と掛け合わせた遺伝子を産まなければいけない、という指令なのかもしれないし、自分ではどうしようもないんですよね。

 そういう体験が、仕事のなかでもあるかもしれないし。お産によってハッキリと感じるかもしれない。物理的に育児に時間を奪われるとか、そんな話じゃなくて。今まであんなにときめいてきて、あんなに翻弄されて、電話のなかに彼がいると思って電話をずっと見てた、ああいう時間は何だったんだというぐらい、まったく次元の違う大事なものができてしまう瞬間があるんですよね。ここで書きたかったのは、そういうことなんです。

 もちろんすごく楽しかったはずだし、思い出すと涙が出るほど寂しいんだけど、今はまったくいらない。だからこれだけがほしいっていう。

 ――完全に誤読していました。手放さなければいけない悲しみはあるけれど、そんなことはどうでも良くなるぐらい、新しい大切なものがある。そちらに重点が置かれているわけですね。

 はい。

 ――やはり、2回の出産体験が大きかったのでしょうか。

 そうですね。もっとドンドン、ドンドンしますけど。5、6回はしようかなと(笑)。でも、出産じゃなくても、女の人にはあることだと思いますよ。(感覚ではなく)頭で理解しようとしちゃう瞬間が、人生で何度かあるんじゃないでしょうか。大きな選択っていうか。

 ――今まで夢中になっていたものが、急に冷めてしまう。

 それより、よほど守らなきゃいけないものができるとか。自分の人生をすべて捧げなきゃいけない時が来るんですよね。


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これを男側からマイナスに描くと,岡村靖幸の「セックス」になるわけだ。今まで気づかなかった面白い視点。

http://j-lyric.net/artist/a001c7d/l008d9a.html (セックス歌詞)