平成25年度司法試験 成績 及び 環境法 第1問 再現

 論文 
   公法系 84,47 (3000位前後、上位57%) 
 
       民事系 167.26 (700位前後、上位13%)
 
       刑事系 103.03 (1300位前後、上位25%)
 
       選択   52.70 (60位前後、上位21%、1100位相当)
   
       論文計 407.46
 
     論文順位 1118位(上位21%)
 
環境法第1問
 

第1 設問1  

1 A及びEの主張内容

  A及びEは、水質汚濁防止法(以下「水濁法」とする)31条1項1号及び34条の構成要件である同法12条1項の「排水口」には、特定施設以外の部分から直接に公共用水域に排水した部分を含まないため、埋立材料に起因する本件では無罪である、と主張していると考えられる。

  1. 反論
  1. 同法12条1項の「排水口」には、特定事業場から排水する部分を含むので、A及びEは有罪であると反論する。
  2. ア汚染者負担原則イ未然防止原則ウ「排水口」
  3. このような汚染者負担原則及び未然防止原則によれば、12条1項の「排水口」とは、特定事業場内で発生する排水が特定施設の排水と合流してパイプの先から排水された部分に限らず、特定施設が設置されている工場である特定事業場からの排水をする部分を含むと解すべきである。
  4. 科学的知見が必ずしも充実していなくても、生命・身体・健康等の重大な法益に対する措置は未然に講じられるべきである(基本法4条)
  5. 受容可能な状態に環境を保持するための汚染防止費用は汚染者が負うべきである(環境基本法<以下「基本法」とする>37条)。水濁法上、特定事業場を利用する者は、そこで特定施設を設置して、事業を営み、これに伴い環境を汚染しているといえる。この意味で、特定事業場利用者も汚染者である。

(3) 本件では、A社はD製鉄所を設置し操業して内には水処理施設としての「特定施設」がある。そして、D製鉄所の亀裂からは、D製鉄所に適用されるpHに係る排水基準をはるかに超える高アルカリ水が排出されている。確かに、亀裂の原因は、造成の際に用いられた埋立材料だが、埋立地全体が特定事業場であるので、亀裂は特定施設が設置されている工場である特定事業場からの排水部分として「排水口」にあたる。

(4) したがって、水濁法12条1項違反が認められる。よって、A及びEは、同法31条1項1号及び34条に該当し、有罪である。

第2 設問2 

1 小問(1)

  1. A社が、水濁法上、有罪とされたことにより、D製鉄所の廃棄物処理法(以下「廃

掃法」とする)上の中間処理施設許可は取り消されなければならないという影響がある(廃掃法15条の3第1項)。

  1. 資料1によれば、水濁法は廃掃法施行令4条の6第4号に該当するため、廃掃法7

条5項4号ハの「生活環境の保全を目的とする法令」にあたる。そのため、水濁法12条1項の違反により罰金が確定したAは、「生活環境の保全を目的とする法令」の規定に違反し、罰金の刑に処せられたと認められる。このため、Aは廃掃法7条5項4号イに該当するといえ、廃掃法14条5項2号イに該当する者である。したがって、Aという「産業廃棄物処理施設の設置者」が14項5項2号イに該当するに至ったので(同法15条の3第1号)、都道府県知事は、Aの中間処理施設に係る許可は取り消されなければならない(15条の3第1項本文)。

  1. 小問(2)
  1. 上記連携措置制定の趣旨

このような生活環境を保全する目的の法令に違反した時に義務的取消を認める連

携措置を定めた趣旨は、廃掃法が「生活環境の保全」を目的とするため(1条)、これと同じように生活環境の保全を目的とした法に反した者は、廃掃法上も生活環境保全が困難な者であるとの推測が成り立つことによる。このこと自体は、環境法秩序全体について「持続可能な発展」を目指すことに資するので(基本法4条)、妥当である。

  1. 但し、問題点として義務的取消にする必要はないと考える。あくまで上記連携措置

の趣旨は、生活環境保全が困難であるとの推測に基づくものであるから、実際に生活環境保全が困難と認めるものに限り、取消を認めれば十分である。このように解しても、取消権者への脅迫等は、刑法上保護されているから問題ない。

第3  

 1 大気汚染防止法(以下「大防法」とする)上ばい煙に係る排出基準の遵守が認められる場所と水濁法上排水基準の遵守が求められる場所

  前者は、ばい煙発生施設の排出口である(大防法13条1項)。後者は、特定事業場の排水口である(水濁法12条1項)。

2 相違

  1. 両者は、フロー型の汚染であり、希釈化するという点で共通する。
  2.  また、ともに施設の「排出口」又は「排水口」であるから、いずれも施設から公共の領域に出される場所について遵守を求めているともみえる。しかし、ばい煙については、地上にたどり着く場所について遵守を求めるという方法もとれたはずである。そうすると、大防法は、あえて水濁法よりも未然の場所で、遵守を求めるべく、汚染に対し迎撃していると評価できる。
  1. 理由
  1. このように遵守場所に違いがあるのは、リスクが違うからである。
  2. 水をメディアとする有害物質については、人が曝露する可能性があるのは、水体系

を一定程度経由した後である。これに対して、人は呼吸するため、空気をメディアとするばい煙については、早期に曝露する可能性が高い。このため、ばい煙については排水よりもリスクが高いといえる。それゆえ、人の生命・身体・健康に対する法益侵害を未然に防止するため(基本法4条)、大防法では、迎撃的に「排出口」での規制遵守を求めるのである。

  1. このことは、水濁法上もリスクの高い物質が存在すると推測される場所については

迎撃的に基準の遵守を求めていることからも裏付けられる。水濁法12条の4は、有害物質使用特定施設(同法2条8項)及び有害物質貯蔵指定施設について、有害物質を含む水の地下への浸透の防止のための構造、設備及び使用の方法に関する基準の順守を求めるのである。これは、地下への浸透という不可逆的なリスクを未然に防止するための手段といえる。

以上

 

 

 [O1]論点はわかった。辰巳の全国模試で出たため。しかし、復習が完全でなかったため、正確性に自信が持ちきれなかった。

 

 [O2]一瞬無限連鎖取消が浮かんだ。前日見なかったことを後悔した。しかし、もっと一般的な問題だと気が付いた。

 

 [O3]丁寧に考えるしかない、と思った。