枇杷・麦の秋

空にもぐ枇杷の香りの双手かな もぎ来る枇杷の香りの双手かな 盗み見る父の技あり椎の花 受け継ぎし父の技あり椎の花

初夏の風のオープンテラスかな 更衣自転車に坂下りけり サルビアや自転車に坂かけあがり 梨花月夜病む妻の背を摩りけり 立ち漕ぎてスペイン坂の薄暑かな 立ち漕ぎて道玄坂の新樹かな 立ち漕ぎて道玄坂の夏木立 立漕ぎの道玄坂のシャツ白し 白シャツの少年坂…

芽起しや螺子巻き上ぐる腕時計

吊革に届かざる子や端午の日

野馬追の騎馬嘶かぬ被曝かな 野馬追の騎馬嘶かす疾風あり

ラーメン右京

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子ら眠る間の出勤や梅の闇*1 龍の玉子ら眠るうち出勤す *1:梅にほふ

明日も生きてゐる感じ 中村國司 冬・新年

ohnehastaberohnerast.hatenablog.com抄録 冬 何もかも十一月の所為にする 花八つ手恋の噂のやつと立つ 神様を見せてもやれず七五三 寄金して洟を手で拭く七五三 田一枚空けて白鳥待ちういたる 角いくつ曲がりても塀花八つ手 ふんだしと杣のいふなる雪時雨 …

明日も生きてゐる感じ 中村國司 秋

ohnehastaberohnerast.hatenablog.com 抄録 竿燈を腰に双手を月に差し 地球より月の寂(しず)かな原爆忌 鉄工の音はたゆまず敗戦忌 騎馬戦の少年吼ゆる天高し 桐一葉訃報といふは一行詩 新米を担げば天下取る心地 蟷螂はひげも機嫌も斜めなり 駐在の縛して…

遠雷や逝きし長子の長所聞き 遠雷や稚く逝きたる子の話 遠雷や幼く逝きし子の話*1 *1:瑪瑙

中村國司 明日も生きてゐる感じ 夏

kanchu-haiku.typepad.jp 夏 早む瀬に五月の光透りけり 馬酔木調。透りけりでよいのか。類想がありそうだが、景が見える。 おほどかに蟻を這はせし子の眠り 優しいまなざし。 筍とよぶぎりぎりの背の丈 「たけ」がわずかにリフレインしているのも技法だろう…

ロマンチック村・クーリルージュ

美味しいバスク料理であった。 揺籃の子の目の都忘れかな 百合甘ければ揺籠に括りけり 揺籃を揺らす指より夕焼かな 夕桜*1揺り籠に妻歌ひをり 夕焼や揺り籠揺らす歌ありて 揺籠をゆるゆる揺らす雪明り 揺り籠を揺らす指あり雪安居 雪蛍揺り籠緩く揺らしけり …

明日も生きてゐる感じ 春

2017年3月文學の森 『明日も生きてゐる感じ』は中村國司(1949 - )の第1句集。跋:白岩敏秀。 作者は「白魚火」同人。 春 料峭や寄れば薄荷の匂ふ唇 日野草城調。私は好きだが、好みが分かれそう。 蒼穹を岳をななめに燕来る わたしなら「来ぬ」で切る。描…

夏の月父の鉛筆削りけり 長く鋭く鉛筆削る日永かな

干鰈・忍冬・蕗

筑波嶺の水田曇りや干鰈 干鰈友の句集を開きけり かっこうや友の句集に指栞 忍冬友の句集の届きけり 蕗の雨妻の病に臥せにけり 蕗苦く妻は病に臥せにけり 鋭く遅く鉛筆削る暮春かな 干鰈見知らぬ人と語らひぬ 鋭く鈍く鉛筆光る日永かな 木犀の香る辻まで見送…

宵涼みマニキュア薄く塗りにけり らいてう忌マニキュア重ね塗りにけり

婚礼のたとへば柿の若葉かな

婚礼の高窓と鳩誓子の忌 おもひきや在五中将業平忌 杜若在五中将業平忌

星満つる庖丁の刃や青胡桃 稲光爼に水流れをり 遠雷や午睡の父に妣なくて 墨西哥の叔母より旅信金魚草 墨西哥の叔母の旅信*1や金魚草 西よりの旅信届けり金魚草 金魚草西より旅信届きけり 浦上の鐘ゆるやかに種浸 友悼むやうに夕顔蒔きにけり 夜顔を蒔く友悼…

壊れさうな薄暑光*1とふ柔きもの 初夏の接吻に永遠契りけり 接吻に永遠の契りや夏手套 *1:月明、春の闇、春の月、春光、若葉光、新樹光、晩夏光、短夜

婚の夜や薔薇の花びら湯に浮べ 身動ぎもしえぬ病臥や水中花 病める子*1のせがむ*2リボンや水中花 *1:病む妹の *2:ねだる

春愁や結婚前夜妻と居て

山の日

山の日や故郷へ山幾つ越え 山の日のやま幾つ越え故郷へ

勝ちて坐す力士の額汗ばめり 勝ちて坐す横綱や汗滴らせ 手刀を切る横綱や汗ばみて 横綱の汗滴らす上手投げ 横綱の汗のたばしる上手投げ

綱町三井倶楽部20170502

湖畔*1までなだれて*2しゃがの花明り 忽然と出で*3忽然と消えて蛇 忽ちに出で忽ちに消えて蛇 黒揚羽全き影の間より 葛城の山毛欅の闇より黒揚羽 書き出だす草書の文や藤の雨 美濃和紙の行書の文や藤の雨 藤の雨草書の文を書き初む 勿忘草群れて一花は翳にあ…

旅に立つ夜は遠足の心なり 春愁と旅待つ心地相似たり

妻の焼く玉子の香る朝寝かな

玉虫や和解も知恵の一つにて

今週のお題「ゴールデンウィーク2017」 花呉座に親子の将棋指しにけり 藺座蒲団親子の将棋指しにけり 藺座蒲団子の陣に飛車成りにけり 藺座蒲団子の飛車成り返りけり 子のと金忍び寄りけり藺座蒲団 簟親子の将棋指しにけり 白上布雪国に父残しけり

平出

海棠や病む妻の髪梳り 海棠や病む母の髪梳り 草田男忌嘉永の家業継ぎにけり 長子家継がぬこの頃花エリカ 他家住めるわが生家なり花エリカ 他人住むわが生家あり花エリカ 分家棲むわが生家あり花エリカ 花エリカ長子家業を継がざりき 祖母逝くや咲き零れたる…

知恵の輪に光遍し目借時 知恵の輪を零るる春の光あり 春光の満ちて知恵の輪解けにけり 知恵の輪の解けぬままや春惜む 知恵の輪の解かれぬままに春逝けり 知恵の輪の解けぬままに春深し 眦の朱き稚児なり花供養

天保の父祖より継ぎて耕せり 天保の父祖より継ぎし畑打てり

my favorite things

整備された自転車、刈られたばかりの芝のにおい。トーストしたてのパン。仕立てた着物を待つ心持ち。 夜の東大寺。鼻をつんざくが、どこか優しい鹿のにおい。闇夜ですべてを見通す金剛力士像。池と遠くに見える本殿。80年間おたいまつを見て生きてきたご老…

円山公園・知恩院・八幡・青蓮院・三年坂・高台寺

天鵞絨の絨毯のごと落椿 敷き満ちて絨毯のごと落椿 傘傾ぐ単衣の妻や二寧坂 駆け出して子ら滝壺に飛び込めり 初蝶や旅信の届く音のして 芽柳や産念坂に灯の入りて 鍵善の暖簾ふくらむ春の宵 円山の花散り初めて御忌の鐘 円山の花散りいそぐ御忌の鐘 円山の花…

仁和寺・法金剛院・妙心寺退蔵院・平安神宮・都をどり

枝垂桜しだるる空の静寂かな 仁和寺や雲居にまがふ夕桜 いづこより花の散るらむ御室道 保津川*1に花流れゆく知恵詣 花馬酔木叡山は雲寄らしめず 花馬酔木筑波嶺は雲寄らしめず 木瓜咲くや坂なだらかに御室道 木瓜咲くや御室の路のなだらかに 山桜谿深ければ…

綱町三井倶楽部0413

高階の窓に掛くる子花辛夷 高階に臥せる少女や花の雨 高階の窓の少女に初音かな 高階の病臥の吾子や花明り 風痛み窓打つ枝垂桜かな 少女臥す高階の花明りかな

根無雲馬柵の若駒翳しけり 浮雲の翳す子馬や那須五峰

ラック&ラック

仕立師の巻尺当つる五月かな 採寸の背の*1巻尺よ鳥曇 夏は来ぬ巻尺背に当てられて *1:に

バンバ桜まつり

少年の吹くサックスに落花舞ふ 立ち上がるサックスのソロ兜太の忌 サックスのソロ立ち上がる兜太の忌 サックスのリード含みぬ花吹雪 夕桜楽団リード含みけり立ち上がるアルトの指や花吹雪

龍天に登りて潮深みけり 龍天に登りて潮目濃かりけり 龍天に阿波の潮目の変はりごろ

浜離宮恩賜庭園

花びらの影に散りつぐ桜かな 花びらの影に花びら重なれり 草木瓜や離宮の風の在り処 連翹に陰影といふ重さあり 石楠花に陰影といふ重さあり 白木蓮に陰影といふ重さあり 花冷や溢れむばかり芋焼酎 菜の花や夫婦の一つ傘の下 四阿に腰深く坐す花菜風 春泥の飛…

若草の萌え立つ馬柵やとの曇

銀座松永

理髪師の顔*1剃る音や寒の入*2 *1:頬 *2:冴返る

0324綱町三井倶楽部

芳賀町

水論の果伝来の堰壊す 水喧嘩一家にて堰壊しけり 水喧嘩伝来の溝埋めにけり 水論の間取り持つ依頼かな

残菊や駅舎に友を見送りて 空港に交はす別れや花茨 空港に交はす別れや牡丹雪 空港に交はす別れや緑立つ 空港に交はす別れや鳥雲に 空港に手を振りあふや夕鶴忌 空港に交はす別れや荷風の忌 空港に交はす別れやカラジューム 空港に交はす別れや雁渡 空港に交…

煉切を懐紙に享くる弥生かな 練切を享くる懐紙や春隣 練切を享くる懐紙や目借時 春めくや懐紙に包む京あられ

紅葉坂・ラテンダロッサ

妻長き髪にダリアを挿しにけり 花桐や祈り捧ぐる老牧師 青嵐時計の鐘の正午打つ 讃美歌の声響き合ふ立夏かな 羅や階に妻振り返り 白靴の新郎花嫁の下へ 祝福の十字切らるる夏はじめ 結葉や花嫁曲ぐる薬指 新緑や両手重ねて切るケーキ 帆船の港に入る日風車売

快方に向かふ子掴む*1桜餅 病む妹の諸手に掴む桜餅 *1:の手の

雛祭

雪洞に映るや雛の笛太鼓