写真

淡雪

牡丹雪降りゆく赤子眠りゆく 牡丹雪降りゆく嬰児睡りゆく 涅槃雪積りゆく吾子睡りゆく 牡丹雪積りゆく吾子眠りゆく

鱒寿司

つるし雛

みどりごの握る十指や春の闇 みどりごの十指開かず春の闇 仏壇の線香くゆるつるし雛

紅梅や丸ビルに買ふ子ども椅子 子に贈るシラー詩集や春の星 春星の潤みて妻の息みをり 春星の潤むや妻の息み声

巣燕や掛け声響く中華店 巣燕や呼び声響く中華店 呼び声の通る中華屋冴返る 呼び声の通る中華屋春浅し 注文のこゑ冴返る中華店

礼文より長き船笛鰊焼く 灯台の草の萌え立つ鰊群来 岬端に草の萌え立つ鰊群来 岬端の草木萌え立つ鰊群来 潮風の高き岬や鰊群来 潮風の岬に高し鰊群来 少年に潮風高し鰊群来 岬端に潮風高し鰊群来 少年の 岬端に 立つ鰊群来 岬端に少年の立つ鰊群来

寒明のエコーに動く胎児かな 春寒し波形異なる心電図

葉牡丹

葉牡丹や屈みゆくわが影の差し春寒し波形動かぬ心電図

尋問のあとの黄梅月夜かな 日蔭より日向に出づる二月かな 日蔭より日向に出でぬ茶摘笠 日蔭より日向に出づる春ショール 日蔭より日向に出でぬ春ショール 日蔭より日向に出でぬ石鹸玉

節分

山裾に東雲曳きぬ鬼やらひ みどりごの誰にも似ざる余寒かな 厳寒の赤子誰にも似ざるなり 冬深し誰にも似ざる子の産まれ

雪の公園

霏々と降る雪や産声待つ廊下 雪霏々と降れり産声待つ廊下

御神渡りと霜焼

霧込の湖かけて御神渡り 霜焼の加賀の乙女の指細し

鰊群来

鰊群来利尻礼文を舟抜くる 鰊舟利尻岳礼文岳の影抜け来 礼文岳より利尻岳臨みぬ鰊雲 月赤き礼文の港漁夫渡る

皆既月蝕を待つ

凍つる夜の月蝕を待つ産科棟 寒月の蝕や産声待つ廊下 在明の月や産声待つ廊下 屋根裏に欠けゆく月を仰ぎけり 杣人の風除を解く伊達郡 杣人の風除を解く信濃かな 杣人の風除を解く野州かな 杣人の風除を解く越後かな

蟹と寒月

月明の水に打たるる松葉蟹 月明や流水に打つ松葉蟹 氷より脚の覗く荷松葉蟹 松葉蟹流水に身の緊りけり 八雲立つ出雲の波頭松葉蟹 八雲立つ出雲の波頭防風摘む 八雲立つ出雲の波頭防風籠 八雲立つ出雲の波頭木の芽張る 八雲立つ出雲の波頭雪しまく 八雲立つ出…

産声を待つや暮雪の降り募る 産声の廊下に響く氷柱*1かな 産声の廊下に響く龍の玉 産声を待ちけり暮雪募りけり 産声待ちゐたり暮雪募りたり *1:暮雪

南天の実 氷柱

南天の実や葉を伝ふ甘雫

好晴の影定かなる雪間かな 白山の影定かなる雪間かな 立山の影定かなり雪間草 箸紙にははの名前の無かりけり 海坂に寒月沈む武庫の浦

氷柱

欅より地へと連なる氷柱かな 朱の実を籠めて月下の氷柱かな 紅き実を容るる月下の氷柱かな

学び舎に足跡続く雪達磨 学び舎に続く足跡雪達磨 犬小屋に足跡続く雪達磨

おでん

大根より父の箸伸びおでんかな背表紙の金の洋書や冬銀河 背表紙の金の絵本や冬銀河

一夜明けて

雪明りすべり台より手を振る子

美しき生い立ちを子に雪降れ降れ

夜もすがら雪積りゆく山河あり 夜をこめて雪降り積る故山かな 夜をこめて雪降り積もる山河かな 下野やしんしんと雪降り積もる 在明や白き炎の霧氷林 在明や靄立つ樅の霧氷林

芽柳

碧天に抜くる柳の冬芽かな 碧天の落ちくる朴の冬芽かな 碧天を掴み柳の冬芽立つ 碧天を掴む柳の芽吹かな 碧天にこぞる柳の冬芽かな 碧天に伸びむと朴の冬芽かな

函館

松前の波蹴り立てて深雪晴

巴波川 鴛鴦 鷹・鷲

鴛鴦や石橋架かる巴波川 鴛鴦の雌ばかりゐるあはれかな 鷹の影音の途絶ゆる風捉ふ 音絶ゆる風捉へ立つ鷹の影 音絶ゆる風捉へ立つ鷲の影 音絶ゆる風捉へ立つ都鳥

正月の凧

膝付きて正月の凧握らしむ 膝付きて凧揚の糸握らしむ 膝付きて凧の手綱を握らしむ 正月の凧や膝付き握らせぬ

七草粥・七草爪

吾子の手を揃へて出しぬ薺爪 珠のごとき子の掌や薺爪 薺爪子の掌の珠に似る 臨月の妻の七草爪つめり 臨月の妻のつみたる薺爪 掌を子の手に添へぬ薺爪 古傷の足に残りぬ薺爪 松籟や残り香淡き薺粥

春の七草

七草をひむがしに向け打ちにけり 七草の籠より出すや匂ひ立つ 七草や

屠蘇・喰積・鋤焼・スーパームーン

喰積や丹の釉薬の益子焼 寒晴や釉薬塗る益子焼 少し小さくなりし父より年酒受く 寒晴やうすきみどりの釉薬 寒菊や皿のみどりの釉薬