俳句

天道虫飛び立つ野州日和かな 天道虫飛び立つ筑波嶺日和かな 天道虫飛び立つ桜島日和 てんと虫飛び立つ桜島日和

天山に据る孤月よ湘子の忌

天山に孤月据りぬ湘子の忌

桐咲くや祈り捧ぐる老牧師

栃木

木香薔薇窓に吐息の少女あり

蔵街の高階つなぐ鯉のぼり蔵塀を繋げる五月幟かな紫の風呂敷解く旧端午

柳絮飛ぶ

相触るることなく柳絮舞ふ虚空 相触るることなく柳絮舞ひにけり 乾草を交ずる牛舎や柳絮飛ぶ 乾草を牛舎に敷くや柳絮飛ぶ

淡雪の触れ合ふことの無かりけり 淡雪の相触るること無かりけり

ゆふかぜの沖つ玉藻や卯月波 ゆふかぜの沖つ玉藻や業平忌

桜蕊降る

桜蕊降るみづうみの鏡凪

朝霧や競漕の櫂軋む音 朝霧やボート部の櫂軋む音 ボート部の櫂軋る音朝霞 漕艇部の櫂軋る音朝霞 漕艇の櫂軋る音朝霞 漕艇のオールの軋る朝霞 ボート部のオールの軋む朝霞 ボート部の櫂軋る音川霞む 菜の花の芯に春日の注ぎけり 日輪に芯菜の花に蘂春深し 日…

かなぶん

乳飲み子のベッドに潜む金亀虫 みどりごのベッドに潜む金亀虫 寝台の縁這ふ金亀虫叩く 吾子の手の囲ふかなぶんぶんや仮死

春闘の胸に忍ばすレコーダー 春闘の胸に忍ばす録音機 春深し胸に忍ばす懸想文

花水木

花束に薔薇の香高く残りけり 伸びをしてみどりご起きぬ花水木

蔦若葉・花楓・河豚・紫雲英・満天星

虚空より一縷の蔦の若葉かな 漆黒の鉄幹駆くる蔦若葉 青楡の幹絡む蔦芽吹くなり 青楡に芯あるごとく蔦若葉 鉄幹に芯通すごと蔦芽吹く 青楡に芯通すごと蔦芽吹く 子の尻に添はすむつきや花楓 両腕を挙げて眠る子楓咲く 春嶺や逆しまに干す涎掛 満天星や真日に…

円成寺 大日如来像 サライ201805

円成寺大日如来春惜む 坐禅組む蹠の窪み春惜む 坐禅組む蹠に窪み地虫出づ智拳印 剥落の印結ぶ御手あたたかし

躑躅・翁草

春風や回転扉推して入り 入れ替はる回転扉風光るケーキ屋の回転扉風光る 推して入る回転扉風光る

一滴の雨を余さず稲咲けり 一滴を零さじと吸ふ吾子や春

石楠花

肩の上の吾子も仰ぎぬ初桜沐浴の吾子のあぎとふ花曇 沐浴の吾子のあぎとふ鳥曇 沐浴の吾子のあぎとふ養花天 囀や沐浴の子のあぎとひて

虹二重

雲水の捧げ持つ灯や聖霊会 卵より黄身二つ出づ春の虹 卵割れ二つの黄身や春の虹 鶏卵に二つの黄身や春の虹

時計より鳩鳴き出でぬ桜餅時計より鳩鳴き出づる目借時

ニリンソウ 芦野

抱く吾子の肌まろびたり花曇 子の膚に食ひ込む指や春霰 両腕に春眠の子のやはらかさ 両腕に春眠の子のやはらかし 両腕の春眠の子のやはらかき

諍いの果の握手や花吹雪校門に立つ女子生徒桜満つ 校門に待つ女生徒や桜まじ 校門に立つ女学生桜まじ白椿

五右衛門の凧の野州を睥睨す 五右衛門の凧や野州を睥睨し 五右衛門の顔の凧なり睥睨す 下野を見下ろす凧の関羽顔 みどりごの眠りしあとの桜餅 寝かし付くる子 子の眠るあとの夫婦の桜餅 眠り子のあとの夫婦の豆の飯 子の眠るあとや夫婦の豆の飯 子の眠るあと…

初弓の中空に舞ふ扇的 中空に扇の的の舞ふ日永 中空に扇の的の舞ふ社日

『甘雨』兼久ちわき 第4章 手秤

『甘雨』は兼久ちわきの第二句集。著者は、馬酔木・早苗同人。 平成17年より29年までの編年体で編まれている。 しぶりゐし野火を追ひ立てつむじ風 しぶるの擬人がどうか 回天の海鈍色に菜種梅雨 花菜雨と比べるとやや陰湿な感じがする季語で、「回天」の…

兼久ちわき 『甘雨』 第3章 七癖

『甘雨』は兼久ちわきの第二句集。著者は、馬酔木・早苗同人。 平成17年より29年までの編年体で編まれている。 片糸鳥行くや夕映え綴りつつ 片糸鳥は雁の別名。夕映えは好みで何度か出てきている。綴るというのは類そうが阿在るか。いずれにしても、抒情…

兼久ちわき 『甘雨』 第2章 力石

『甘雨』は兼久ちわきの第二句集。著者は、馬酔木・早苗同人。 平成17年より29年までの編年体で編まれている。 余る生などなし山の笑ひ初め 矜持。「初め」が常套だが、山笑ふにもってきたのは面白い。常に季節は巡り、定年退職などあっても、ここからが…

中空に扇漂ふ弓始 中空に扇舞ひけり弓始 中空に扇舞ひをり弓始 中空に扇輪を描く弓始 中空に扇舞ひ散る弓始 中空に扇的舞ふ弓始 中空に的舞ひ上がる弓始 中空に花的の舞ふ弓始 流鏑馬の中空に舞ふ扇的

聴牌の国士無双の夜長かな