俳句

一夜明けて

美しき生い立ちを子に雪降れ降れ

下野やしんしんと雪降り積もる

初夢の恩師の笑みの変はりなし 初夢の恩師変はらず諭しをり

芽柳

碧天に抜くる柳の冬芽かな 碧天の落ちくる朴の冬芽かな 碧天を掴み柳の冬芽立つ 碧天を掴む柳の芽吹かな 碧天にこぞる柳の冬芽かな 碧天に伸びむと朴の冬芽かな

青墨の筆に滴る二日かな

眼裏の鈍き痛みや冬の雷

井原西鶴

長持へ春ぞ暮れゆく衣がへ

西山宗因

風に乗る川霧かろし高瀬舟

青墨の師の短冊や初句会 短冊の青墨の香や初句会 短冊の青墨香る初句会

小嶋酒造

寒造杜氏直系の眸子あり 直系の杜氏の正視や寒造 寒造杜氏の火入の正視せり 正視する杜氏の眼や寒造

磯の香の拉麺啜る虎落笛

みどりごの寝静まらざる虎落笛 みどりごの乳ぜり啼くなり虎落笛 陣痛の波の引くなり虎落笛

山本健吉忌

文机に断想綴る健吉忌 緑蔭に断想綴る健吉忌

音もなく風捉へけり鷹柱

ばら寿司の酢の匂ひ立つ初句会

20180114更新

寒晒加賀友禅の藍深し 富嶽聳つ残り香淡き薺粥 海坂の寒満月や伊良湖岬 音もなく風を捉へて鷹柱 人知れぬ花ぞ散りける西行忌

函館

松前の波蹴り立てて深雪晴

鷹の影音絶ゆる風捉へ立つ 夕闇の迫る雲間の鷹の影

巴波川 鴛鴦 鷹・鷲

鴛鴦や石橋架かる巴波川 鴛鴦の雌ばかりゐるあはれかな 鷹の影音の途絶ゆる風捉ふ 音絶ゆる風捉へ立つ鷹の影 音絶ゆる風捉へ立つ鷲の影 音絶ゆる風捉へ立つ都鳥

職替へり皹の母米を研ぎ 職替へり皹の母米研ぎて

T.S.LABO

秋燕や肩組み唄ふ応援歌

傷痕の深く抉れるラガーかな 勝鬨のラガーら踞りにけり 笛長しラガーらの地に踞る 笛の音の長しラガーら踞る 笛長く鳴りぬラガーら踞る 筑波嶺に高く蹴り出すラガーかな 筑波嶺に届かむと蹴るラガーかな 黄昏の筑波嶺に蹴るラガーかな

甘藍玉巻きたり妹嫁ぎたり

正月の凧

膝付きて正月の凧握らしむ 膝付きて凧揚の糸握らしむ 膝付きて凧の手綱を握らしむ 正月の凧や膝付き握らせぬ

七草粥・七草爪

吾子の手を揃へて出しぬ薺爪 珠のごとき子の掌や薺爪 薺爪子の掌の珠に似る 臨月の妻の七草爪つめり 臨月の妻のつみたる薺爪 掌を子の手に添へぬ薺爪 古傷の足に残りぬ薺爪 松籟や残り香淡き薺粥

初電話胎児の元気より話す 腹の子のことより話す初電話

春の七草

七草をひむがしに向け打ちにけり 七草の籠より出すや匂ひ立つ 七草や

目覚めれば日射しの翳る日向ぼこ 揺籠のみどりご笑みぬ日向ぼこ

寒の入ロールキャベツを解しけり

年賀状・寒月

靴音の松籟に消え礼者来ぬ 礼者来ぬ松籟に襟正しつつ 松籟に襟正したる礼者来ぬ 教へ子の名前の順に賀状置く 括り置く賀状の束や奥白根 寒月の低く満ちたり伊良湖岬