2019-03-30から1日間の記事一覧

春場所の川音まじる触れ太鼓

そして詩が本質する精神は、この感情の意味によって訴えられたる、現在(ザイン)しないものへの憧憬である。 引用元は、萩原朔太郎『詩の原理』。青空文庫にもあります。 短歌が人を感動させるために必要な要素のうちで、大きなものが二つあると思う。それ…

短歌

「さかさまに電池を入れられた玩具の汽車みたいにおとなしいのね」穂村弘 のど赤き玄鳥ふたつ屋梁(はり)にゐて垂乳根の母は死にたまふなり 斎藤茂吉 沖かけて燕まぶしき茂吉の忌

穂村弘『短歌といふ爆弾』

あれはまちがいだった。あれはまちがいだった。世界を変えるための呪文を本屋で探そうとしたのはまちがいだった。どこかの誰かが作った呪文をもとめたのは間違いだった。僕は僕だけの、自分専用の呪文を作らなくては駄目だ。

子はいつもはつらつとしてよろこびにからだふるはす愛し生き物 奥村晃作 菖蒲湯やからだふるはし吾子笑まふ

かの子忌の散る花ならば峡にちる かの子忌や雪ふりしきり降りしづみ かの子忌の夜を降りしづむ春の雪

林檎の香軒にあふるる白秋忌 林檎の香降るがごとくに白秋忌 林檎の香街に流るる白秋忌 林檎の香流るる街の白秋忌 星空に林檎の香満つ白秋忌*1 *1:星空へ店より林檎溢れをり 橋本多佳子

短歌入門 決定版

素材の選択は思想 戦前 母のくににかへり来しかなや炎々と冬濤圧して太陽沈む 坪野哲久 戦後 大空の斬首ののちの静もりか没ちし日輪がのこすむらさき 春日井建 短歌は事実で無いことを詠んでもよいのですか? 窪田空穂は、事実を詠んだ歌なんてどこにもあり…

雲を置く嶺へ北窓開け放つ 雲被く嶺へ北窓開け放つ 初音より岳麓の闇ゆるびけり 薪割る斧置き拭ふ玉の汗はろけき嶺に心とどめん 杣小屋に薪割りし斧立て掛けつはろけき嶺に心置くなり