春闘の胸に忍ばすレコーダー 春深し胸に忍ばす懸想文

繊月

亀鳴くを待てり孤月の中宮寺 亀鳴くを待つや孤月の中宮寺

佐保姫の息吹に外す抱つこ紐

花水木

蔦若葉・花楓・河豚・紫雲英・満天星

円成寺 大日如来像 サライ201805

智拳印

躑躅・翁草

一滴の雨を余さず稲咲けり 一滴を零さじと吸ふ吾子や春

乳飲み子の溢さじと呑む木の芽時

紫荊

くぐり入る母校の門や花蘇魴

子の臍の容の似たり松の花 臍の緒の取れり蛙の目借時 臍の緒の零れ落ちたり朧月 桐箱に臍の緒秘めぬ春の闇 桐箱は臍の緒秘めて春の闇 桐箱は臍の緒蔵す春の闇 桐箱の臍の緒秘めつ春の闇 桐函の臍の緒秘めつ春の闇 桐箱の秘むる臍の緒春惜む 桐箱に秘むる臍の…

石楠花

肩の上の吾子も仰ぎぬ初桜沐浴の吾子のあぎとふ花曇 沐浴の吾子のあぎとふ鳥曇 沐浴の吾子のあぎとふ養花天 囀や沐浴の子のあぎとひて

虹二重

雲水の捧げ持つ灯や聖霊会 卵より黄身二つ出づ春の虹 卵割れ二つの黄身や春の虹 鶏卵に二つの黄身や春の虹

時計より鳩鳴き出でぬ桜餅時計より鳩鳴き出づる目借時

ニリンソウ 芦野

抱く吾子の肌まろびたり花曇 子の膚に食ひ込む指や春霰 両腕に春眠の子のやはらかさ 両腕に春眠の子のやはらかし 両腕の春眠の子のやはらかき

諍いの果の握手や花吹雪校門に立つ女子生徒桜満つ 校門に待つ女生徒や桜まじ 校門に立つ女学生桜まじ白椿

五右衛門の凧の野州を睥睨す 五右衛門の凧や野州を睥睨し 五右衛門の顔の凧なり睥睨す 下野を見下ろす凧の関羽顔 みどりごの眠りしあとの桜餅 寝かし付くる子 子の眠るあとの夫婦の桜餅 眠り子のあとの夫婦の豆の飯 子の眠るあとや夫婦の豆の飯 子の眠るあと…

初弓の中空に舞ふ扇的 中空に扇の的の舞ふ日永 中空に扇の的の舞ふ社日

『甘雨』兼久ちわき 第4章 手秤

『甘雨』は兼久ちわきの第二句集。著者は、馬酔木・早苗同人。 平成17年より29年までの編年体で編まれている。 しぶりゐし野火を追ひ立てつむじ風 しぶるの擬人がどうか 回天の海鈍色に菜種梅雨 花菜雨と比べるとやや陰湿な感じがする季語で、「回天」の…

兼久ちわき 『甘雨』 第3章 七癖

『甘雨』は兼久ちわきの第二句集。著者は、馬酔木・早苗同人。 平成17年より29年までの編年体で編まれている。 片糸鳥行くや夕映え綴りつつ 片糸鳥は雁の別名。夕映えは好みで何度か出てきている。綴るというのは類そうが阿在るか。いずれにしても、抒情…

兼久ちわき 『甘雨』 第2章 力石

『甘雨』は兼久ちわきの第二句集。著者は、馬酔木・早苗同人。 平成17年より29年までの編年体で編まれている。 余る生などなし山の笑ひ初め 矜持。「初め」が常套だが、山笑ふにもってきたのは面白い。常に季節は巡り、定年退職などあっても、ここからが…

中空に扇漂ふ弓始 中空に扇舞ひけり弓始 中空に扇舞ひをり弓始 中空に扇輪を描く弓始 中空に扇舞ひ散る弓始 中空に扇的舞ふ弓始 中空に的舞ひ上がる弓始 中空に花的の舞ふ弓始 流鏑馬の中空に舞ふ扇的

聴牌の国士無双の夜長かな

『甘雨』兼久ちわき 第1章 直系

『甘雨』は兼久ちわきの第二句集。著者は、馬酔木・早苗同人。 平成17年より29年までの編年体で編まれている。 一鋏に蠟梅強き香を放つ 剪定により、香を増した、というところが詩情。 水仙花挿して直系疑はず 秋櫻子からの直系か、女系の直系か分らない…

花疲れ

蒼穹の底ひに臥しぬ花疲れ 蒼穹の底ひに睡る花疲れ 蒼穹の底ひに臥する花疲れ 蒼穹の底にころぶす花疲れ

工学部

蒼穹の底に睡れり花莚 蒼穹の底ひに睡る花莚 蒼穹の底ひに睡り花莚 喉鳴の子をあやしをり桃の花 草餅や残り一つに手を伸ばし 草餅に伸ばす指先触れ合ひぬ 子の元に転がす球や桜狩 一斉に大縄跳びぬ桜まじ 一斉に大縄跳べり桜東風 一斉に大縄跳びぬ蝶の昼 佐…

三椏

三椏の花や子を抱く腕二つ

つみびとを匿ふ咎や雪時雨

「おはやう」と啼きて鸚哥の交りけり

貸金の時効迎ふる暮の春