日光駅前

身籠れる妻や手握り蚊帳くぐる

木蔭より水鉄砲を撃ち返す 蚊帳くぐる妻身籠れり手を支ふ 耳打にはにかみにけり天瓜粉

海坂の白帆傾く夏休み 海坂の白帆傾く籠枕

夏野菜

胡桃割眉間に皺を集めけり 西瓜割眉間に皺を集めけり 両手もて先生を引く水着かな 諸手もて先生を引く水着かな 雲影のいくたび過る浮輪の子 玩具屋の前の号泣燕来る 交番の中の号泣燕来る 胎動の聞えるまでの銀河濃し 身籠れる妻に手を貸し蚊帳くぐる 蚊帳く…

這ひ這ひの転がしてゆく毛糸玉 這ひ這ひの前に転がす毛糸玉 這ひ這ひの先に転がす毛糸玉 尺取の腹のあたりを子の摘まむ 尺取のつまみどころはどこかいの 尺取の尺はかるごと摘みけり 尺取を抱き上ぐるごと摘みけり 尺取を抱き取るごとく摘みけり 鈴虫や子の…

トマト

耳打の聞えてをりぬ春着の子 踏台の子と歯を磨く夜涼かな 青空に溶け込むビーチボールかな 浮雲の峰を越えゆく巣立鳥 峰越に雲流れゆく巣立鳥 峰越に雲の流るる時鳥 菖蒲湯を出るまでをさな指を折る

遠火事や緊りゆく子の両拳 菜殻火や緊りゆく子の両拳 這ひ這ひを抱き取るや汗ふきながら 手を挙げて返事大きく入園す 遠足の子らの返事の大きさよ 先生に返事大きく入園す

夜の底に寝息をさなし金木犀 をさなごの寝息更けゆく冬銀河

産院の窓曇りたる百日紅 寝冷子のベッドの妻の膝に寝る 風邪の子のいつしか眠る妻の胸 耳打ちの何をはにかむ春着の子 耳打ちの声きこえくる春着の子 耳打ちの声きこえをり春着の子 野遊びの隠れて妻のスカートは 遠足の子ら容れ野山膨らみぬ 入園の父のズボ…

はちきれむばかりの吾子の浴衣かな 甚平の吾子はちきれむばかりかな はちきれむばかりに吾子の夏衣 耳打ちに耳打ち返す目借時 耳打ちに笑ひひろがる日焼の子 懐の子と仰ぎたる居待月 懐に吾子あり月見団子あり

メレンゲの雲のごとくに夏立てり 奥宮の靄に溶け込む杉の花 奥宮の靄に溶け込む時鳥 奥宮の靄に溶け込む蟇 奥宮の靄に溶け入る河鹿笛 奥宮の靄に溶け込む河鹿笛 奥宮は靄の中なり河鹿笛 奥宮の溶け込む靄や河鹿笛

本居宣長

敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花

『武士道』 新渡戸稲造

平静は、勇気の静止的なあり様である。勇敢な心が精神に定着すると、平静ー心の落ち着きとなつてあらわれる。 本当に勇敢な人は、常に平静である。私たちはこれを「余裕」と呼ぶ

月明に高嶺の鷲の影蒼し 月明の雲の切れ間や鷲の舞ふ 鷲舞ふは高嶺の雲の切れ間より 月明の高嶺に鷲の舞ひにけり 月宿る高嶺の雲よ鷲の舞ふ 月宿る高嶺の雲よ青葉木菟 月宿す高峰の雲夏炉焚く 月宿す高峰の雲橡咲けり 月宿す高峰の雲朴咲けり 月宿す高嶺の雲…

滝の上の白き雲より水落つる 滝の上の雲より白き水落つる 滝の上の雲より落つる水白し 白雲の底より男滝落ちにけり 白雲の底より落つる滝仰ぐ 白雲の底より落つる男滝かな 白雲の底ひより滝落つるなり

桷咲くや空押し上げて奥白根

雲ゆ降る声ほのかなり雲雀東風

ふじっこ

巣立鳥

風吹かば峰に別れむ西行忌 峰風の吹き過ぐ鷹の山別れ 白雲の峰に風吹く巣立鳥 峰越の風吹く鷹の山別れ 峰越えて白雲かかる巣立鳥 峰越に白雲かかる巣立鳥 白雲の峰越えてゆく巣立鳥

草深き野を分けゆくや業平忌 胸元に夏野分けゆく業平忌 霧深き秋の野中の忘れ水

追風に澪曳く潮路晩夏なり 追風に潮路ひろごる梅雨晴間 追風に潮路ひろごる五月晴 追風に潮路ひろごるサングラス 追風に潮路ひろごる夏帽子 追風に潮路拡ごりゆく晩夏 追風に潮路ひろごる沖膾 追風に潮路ひろごる夏燕 追風に潮路ひろごる初鰹 追風に潮路ひろ…

柿干すや

柿干すや妻健やかに身籠りて

茄子の花・馬鈴薯の花・しし唐の花・蝶・蛙

茄子 馬鈴薯 ししとう 蝶 蛙

水底に千々の光や鵜飼舟 初旅や白雲なびく山越えむ 白露の木々の雫となりにけり

峰越の風に鳴きつる狐かな 地図の上の山河を蟻の這ひにけり 蟻這はす地図の上なる幾山河 地図の上の山河を蟻の越えにけり 連山を蟻の越えゆく地図の上 地図の上に蟻の越えゆく大河あり 地図の上の蟻の越えゆく大河かな 切株に拡ぐる地図や蟻の這ふ 切株に蟻…

桔梗や川瀬の波の高瀬舟

尋野花

胸元を濡れ分けきたる花野かな 胸元にしづく濡れたる花野かな あはれ子の胸元濡れぬ大花野 胸元に花野のしづく分けにけり 胸元に秋の七草かきわけつ 秋の七草胸元を濡らしけり 薄野を分けぬ胸元濡らしつつ 薄野をゆくや胸元濡らしつつ 花野去るときは胸元濡…

利かん気の子に訳を聞く氷水 かんしゃくの子に訳を聞く氷水