朧夜や吾子寝静まる母の腕朧夜や吾子寝静まる母の胸

沐浴の子の耳掴む蝶の昼 蝶の昼沐浴の子の瞑りぬ

春暁や女系口伝の子守唄

吾妹子のいづくか歩く大花野 吾妹子に楝の花の散り急ぐ 吾妹子に楝の花の近江かな

逆しまに産衣干しをり弥生山

淡雪

牡丹雪降りゆく赤子眠りゆく 牡丹雪降りゆく嬰児睡りゆく 涅槃雪積りゆく吾子睡りゆく 牡丹雪積りゆく吾子眠りゆく

春霙・春時雨

きさらぎの望月に吾子産まれけり

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=932912633542350&id=100004708668624令状の印字滲めり多喜二の忌

哭きながら乳吸ふ吾子や梅月夜

小夜更けて吾子乳ぜり啼く春の雪 小夜更けて子の息荒し春の雪

早春や吾子の泣き声甲高く 早春の子の泣き声の甲高し 朧夜や乳匂ひ立つ子の肌着 夜濯や乳の匂ひの子の肌着 朧夜や乳匂ひ立つ産衣の子

鱒寿司

住み替えを求む訴状や漱石忌

家事育児仕事手抜かず水の春 家事育児仕事こなしぬ月朧 家事育児仕事こなしぬリラ月夜

春昼の吾子の寝息の深まりぬ 春昼や寝息深まる赤ん坊

春暁や乳吸ふ吾子の喉仏

春の夜や妻幾度の子守唄 朧夜や加賀の口伝の子守唄 春の夜の一子口伝の子守唄 春の夜の女子直系の子守唄

乳呑み子の乳飲まずをり蝶の昼 春暁や白湯注ぎゆく哺乳瓶 父の日の乳飲み子は乳飲まずをり 父の日や乳飲み子の乳飲まずういて

つるし雛

みどりごの握る十指や春の闇 みどりごの十指開かず春の闇 仏壇の線香くゆるつるし雛

陣痛の妻の手握る春の雪 息みたる妻の頬美し花ミモザ 陣痛に息む頬美し梅月夜 陣痛の妻の見遣りつ春の星 心音の高鳴る胎児春寒し 心音の高鳴る嬰児山笑ふ 心音の高鳴る嬰児水温む 心音の高鳴る嬰児氷解く 心音の高鳴る吾子やみどりの日 心音の高鳴る嬰児木瓜…

紅梅や丸ビルに買ふ子ども椅子 子に贈るシラー詩集や春の星 春星の潤みて妻の息みをり 春星の潤むや妻の息み声

試験待つ己が息のみ梅日和 試験待つ己が息のみ枝垂梅 試験待つ己が息のみ深雪晴 論攷の依頼断り種蒔けり 意見書の依頼断り胡瓜蒔く 執筆の依頼断る涅槃西風 試験待つ己が息のみ紫木蓮 試験待つ己が息のみ花樒 試験待つ己が息のみ鰯雲

巣燕や掛け声響く中華店 巣燕や呼び声響く中華店 呼び声の通る中華屋冴返る 呼び声の通る中華屋春浅し 注文のこゑ冴返る中華店

陣痛の来らず亀の鳴くならむ 陣痛の来ざりけり亀鳴くならむ 陣痛の来ざるなり亀鳴くならむ

答案に滲むインクや木の芽冷 答案に滲むインクや桂の芽 答案に滲むインクや木の芽雨 答案に滲むインクや木の芽時

礼文より長き船笛鰊焼く 灯台の草の萌え立つ鰊群来 岬端に草の萌え立つ鰊群来 岬端の草木萌え立つ鰊群来 潮風の高き岬や鰊群来 潮風の岬に高し鰊群来 少年に潮風高し鰊群来 岬端に潮風高し鰊群来 少年の 岬端に 立つ鰊群来 岬端に少年の立つ鰊群来

寒明のエコーに動く胎児かな 春寒し波形異なる心電図

葉牡丹

葉牡丹や屈みゆくわが影の差し春寒し波形動かぬ心電図

受験

破鐘の如き鼓動や受験待つ 己が息聞きいて受験待ちにけり 受験待つ己が息のみ聴こえけり 破鐘の如く鼓動す大試験 受験生鉛筆握りしめにけり 鉛筆の傷握りしむ受験生 傷深き鉛筆握る受験生 瑕長き鉛筆握る受験生

尋問のあとの黄梅月夜かな 日蔭より日向に出づる二月かな 日蔭より日向に出でぬ茶摘笠 日蔭より日向に出づる春ショール 日蔭より日向に出でぬ春ショール 日蔭より日向に出でぬ石鹸玉