稔田や花嫁来る散居村 稔田や花嫁歩む散居村 稔田や花嫁を待つ散居村 塩辛とんぼ(精霊とんぼ) 夕映の百の代田や散居村 しゅゆの日の代田燃やしぬ散居村 落日に代田燃え立つ散居村 落日や代田潤ふ散居村 散居村千の代田の潤ひぬ 散居村千の代田に日の没りぬ…

能登路みな海に雪崩るる欣一忌

妻の腹膨らみにけり籐寝椅子

「あめ」の字の暖簾透き来る灯の涼し 兼六園坂下アスファルト灼けて 兼六園坂下雪花舞ひ初めて アスファルト灼けて加賀路のゆるぎなし 松籟の徽軫灯籠灼きて過ぐ 松影の徽軫灯籠灼くるなり 肌脱の撒く潮なれば弧を描きぬ 肌脱の撒く潮ならば弧を描かむ 岬端…

早稲

鮎釣や魚籠に跳ねたる水の音 鮎釣や魚籠をうちたる水の音

冷し中華

草いきれ婦人科へ途急ぎをり

芙美子忌の青き真弓の実なりけり 芙美子忌の青き檀の実なりけり

先生に礼状を書く涼しさよ

能登時雨・虹・向日葵

奥能登の潮の香高きトマトかな 奥能登の潮滴る冲膾 向日葵や高原は雲流れつつ 早稲咲くや雨の篠突く信濃川

珠洲塩田・白米千枚田・窓岩・輪島・キリコ・総持寺・杉森久英文庫・能登演劇堂・和島屋

朝市や路地に干さるる唐辛子 炎天の地や焼き残る影法師 朝市や時雨の濡らす石畳 総持寺の翌檜高し木下闇 片陰やたまゆら燃ゆる能登甃 総持寺の淡き翌檜月夜かな 禅院の淡き翌檜月夜かな 片陰の深き翌檜並木かな 赤松に波打ち寄する夏座敷 山門の影焼き残る極…

千里浜・九十九湾・能登ワイン・見附島・ランプの宿

舟虫の散るや月下の九十九湾 舟虫や月明宿す九十九湾 求愛の脊鴒羽を拡げをり つま恋の鴛鴦羽を拡げけり 夏潮や海猫沖を見はるかす 打ち寄する波音に覚む朝寝かな 海猫の声に覚めけり避寒宿 岬端に残月かかる避暑の宿 椿の実恋人の鐘打ち鳴らす 岬端の残月高…

金沢駅

肌脱や鉄骨に腰深く坐し 肌脱の潮撒くなり孤を描く 肌脱の撒く潮なれば孤を描きぬ 肌脱の撒く潮ならば孤を描かむ

兼六園・ひがし茶屋街

「あめ」の字の暖簾漏れ来る灯の涼し 兼六園坂下アスファルト灼けて 兼六園坂下雪花舞ひ初めて アスファルト灼けて加賀路のゆるぎなし 松籟の徽軫灯籠灼きて過ぐ 松影の徽軫灯籠灼くるなりそれぞれの松に影あり水馬 這松の水漬く影より源五郎 蚯蚓鳴くことじ…

浅間・水馬・妙義

青嶺聳つ 「あめ」の字の暖簾漏れ来る灯影 かな 夏の灯の「あめ」の暖簾を漏れ来る 水馬や妙義は雲の中に みすずかる信濃の山ぞ滴れる

春駒の白き鬣靡きをり 百合の香の高き揺籠ゆらしをり

競べ馬白き鬣靡きをり 春駒の靡く鬣真白なり

舞殿や摺足に去る夏袴

死する蟻曳き摺つてゆくありの列 蟻死にき隣のありに曳き摺らる 蟻死にぬ隣のありに曳き摺らる 蟻死せり隣のありに曳き摺られ

白桃のぬばたまの闇匂ひ来ぬ ぬばたまの夜の白桃の香り立つ 磐梯の夜や白桃の香り立ち

穀象・うどんげ

鴨翔ぬ涼しき蔵の深庇 穀象や星のごとくに散在し 優曇華や遠山影を湛へつつ

背に深き傷跡のある狐かな

いさかひの無き日なるらむ喜雨亭忌

天道虫 柳

葉柳や八つ橋の彩とりどりに 葉柳や八つ橋の具の赤黒黄 天道虫草の雫に打たれけり

秋吉台

丘陵に消えゆく路や青芒 山彦やわれと背並ぶ青芒

秋芳洞

鍾乳洞、鍾乳石、しょうけつ、蝙蝠、あらかし、湧泉、こなら、くぬぎ、おにぐるみ 老鶯や黒樫に靄纏ひきて 水の面の闇息づきて滴れり 洞穴の闇息づきて滴れり 滴れり洞穴の闇息づきて

聖サビエル聖堂

青蔦や坂離れゆく鐘の音 五月雨や残鐘の音消えゆきて 鐘の音を断ちて五月雨到りけり 鐘の音を断つ五月雨の到りけり 鹿の子百合聖母子 聖堂に喜雨注ぎ来ぬ、 讃美歌の声響き合ふ鹿の子百合 五月雨の露置く槇の葉なりけり まだ青き真弓の実あり芙美子の忌

瑠璃光寺

草の香のハンカチーフを拾ひけり 河骨や本堂靄の中に立つ 蜘蛛の井の玉走る 山靄を負う三門や蟇 五月雨や鯉が鰭ふる瑠璃光寺 虎が雨茅葺の塔青みけり 堂塔に雨煙りをり蟇 夏霧や堂塔の影浮かび立ち 夏霞堂塔の影淡きなり 夏霞堂塔の影淡かりき 堂塔の影の煙…

宇部・常磐公園

夕月の湖や泰山木散華 水脈長き湖や泰山木散華 沖かけて鯖火燃え立つ周防灘 楊梅や母娘は男唆し 河童忌やペリカンの群羽繕ひ 羽繕ふペリカン群るる餓鬼忌かな 対岸に霧立ち上る新松子 夏鴨へ親子確かに近付けり 夏鴨へ人の親子の近付けり 母を師と仰ぐ人なり…

虎が雨鴫立庵に点前待つ

さくらんぼ

正拳突鼻より汗の滴れり

二社・かんまんが淵

舞殿の幣打つ赤城颪かな 鳥居楼門(新門)お旅所、拝殿、社殿、奥宮、本殿、幣殿、神籬(ひもろぎ)、神興(しんよ、みこし) 若水や 茅の輪くぐり、夏越の祓 払暁の山霧容るる茅の輪かな かんまんが淵

尚仁沢湧水・蕎麦掻

木流しやことに丸太の浮き沈み 木流しや断崖に傷の如き穴 せせらぎ みくまり 碧潭や丸太を渡る木下闇 河鹿笛かんなび山の 雪解の激つ瀬分かつ巌かな 送り梅雨激つ瀬分かつ巌あり 蛍火や沢風に榧かぐはしき 蛍火や沢風に槇かぐはしき 竜淵に動くものなき夜明…

神楽坂

パティシエの泡立ち上げて巴里祭 パティシエの泡立ち上げて暖かし メレンゲの泡立ち上ぐる巴里祭 メレンゲの泡立ち上ぐる暖かさ

宿す子に胎動のある弥生かな 懐妊や

浮いて来い水は容に抗はず 抗はぬ水の容に浮いて来い 金魚玉水は容に従ひぬ

黒羽

城山の淡き紫陽花月夜かな 山裾の淡き紫陽花月夜かな 紫陽花の色の定まる翁道 刑務所の門へ続けり薔薇の垣 額の花空堀に日の注ぎけり 刑務所の壁聳え立つ梅雨入かな*1 黒羽 *1:額の花

熱帯魚

雷匂ひ来ぬ寂静を先立てて 熱帯魚水は器に逆らはず 浮いて来い水は器に逆らはず

おもひきや在五中将業平忌 深草野在五中将業平忌 通ひ路や在五中将業平忌

職替へり皹の母何も云はず

子蟷螂

蟷螂の逝きてなほ斧*1かざしをり 鎌かざすまま蟷螂逝きにけり 蟷螂の鎌かざすまま逝きにけり 枯蟷螂鎌かざすまま逝きにけり *1:鎌

夏椿・目高・青蔦・額の花・草城

青蔦や少年の開け放つ窓 青蔦や煉瓦の影の女の背 額の花師にも第一句集あり 青芝や水槽逆しまに洗ひ 水槽の目高に沙羅の花散れり [:

拘置所の眠られぬ夜の長さかな

燕の子

近付きて燕の子らの啼き止めり 子燕の嘴ばかり犇めけり 子燕の嘴幾つ犇めくか

蟻逝きてその巣穴まで運ばるる 蟻逝きて隣のありに曳き擦らる 蟻逝けり隣のありに曳き摺らる 蟻逝くや隣のありに曳き擦らる 蟻逝けり隣のありの曳き初めて 蟻逝くや隣のありが曳き初むる

ごきぶりと叫びし妻や叩く音

立葵妻懐妊の兆しあり 五月富士妻妊娠の兆しあり 白南風や著き妊娠検査薬*1 浅茅生や想ひ忍ばせ丘に立ち 文机に記す旅程や翁の忌 宿す子に胎動のある弥生かな 産科医の妊娠告ぐる桜まじ *1:朝焼

「ちゅうくらい」という生き方 渡邉弘

Amazon CAPTCHA 新論とはおもわないが、一茶のことがわかる良書。 注記ない限り、一茶の句。著者の論。 蟻の道雲の峰よりつづきけん 一茶は30そこそこの聖ねん。才能よりも指導者としての巧み、挙措動作の確かさを求める。つまり、大人の俳諧師を予定し、…