葉擦れより静かなものに赤蜻蛉
瞑りて確む葉擦れ秋あかね
瞑りて葉擦れの音や雁の棹
二百十日遠き葉擦れに耳留むる
葉擦れにも数といふもの野分だつ
葉擦れにも音の違ひよ野分たつ
葉騒より野分の雲の湧きにけり
瞑りて遠の葉擦れや原爆忌

小牡鹿・鹿の子

小牡鹿の顧るものなき疾駆
小牡鹿の疾駆は何も顧ず
小牡鹿の走りや何も顧ず
小牡鹿の顧ぬものなき疾駆かな
小牡鹿の月の巖まで駆けのぼる
小牡鹿の月の巖に立ちて啼く
小牡鹿の月の尾根まで駆けのぼる
小牡鹿の過りぬ何も顧ず
小牡鹿の疾駆の影の過りけり
小牡鹿の疾駆顧るものなし
小牡鹿のしなる疾駆の四肢の影
小牡鹿の疾駆の影のしなりかな
小牡鹿の疾駆の四肢に撓りあり
小牡鹿の四肢のしなりて土蹴たり
小牡鹿の疾駆の四肢のしなひをり
小牡鹿の疾駆の四肢の地蹴上げぬ
小牡鹿の疾駆の四肢の土蹴上ぐ
小牡鹿の疾駆の四肢の泥蹴上ぐ
鹿の子の立ち上りゆく夜明かな
顧るものなき牡鹿駆け抜けり

花鶏

野分後花鶏来て実を啄めり
連れ添ひの花鶏の来る野分あと
高きより花鶏の来る野分あと
高きより花鶏降り来る野分あと
高きより花鶏来れり野分あと
折れ枝に花鶏のつどふ野分あと

大試験

不揃ひの鉛筆並べ*1大試験
鉛筆の長さ短さ大試験
傷のある鉛筆握る大試験
大試験鉛筆握りしめにけり
大試験傷の鉛筆握り待つ
鉛筆の傷握り待つ大試験
大試験鉛筆の傷触れて待つ
鉛筆の傷触れて待つ大試験

*1:並ぶ、置ける